バルク乳体細胞数に影響を与える要因

平成23年度島根県獣医学会発表演題

 

バルク乳体細胞数に影響を与える要因

○足立 全、小山典子、嶋田浩紀、土江將文、岸本昌也、加藤大介

発表者所属:(有)益田大動物診療所

1.はじめに:バルク乳体細胞数は、乳房炎感染状況の指標だけでなく、ペナルティーによる損失等、酪農経営において大きな関心事にあげられる。体細胞数は、乳房炎、産歴、気候、ストレス等様々な要因で増加する。今回、バルク乳体細胞数、バルク乳細菌検査成績、牛群産次構成及び乳房炎起因菌からバルク乳体細胞数に影響を与える要因を検討したので、その概要を報告する。

2.材料および方法:平成20年8月から平成23年6月までの産歴別搾乳頭数、バルク乳細菌検査成績及び乳房炎原因菌成績を用い、各月毎にバルク乳体細胞数との関連を分析した。また、バルク乳細菌検査成績を細菌汚染レベルで5段階に分類し、バルク乳体細胞数との関連を分析した。

3.成  績:搾乳牛群の平均産次数が増加すると、体細胞数は増加した。搾乳牛群中の3産目以降の割合が増加すると体細胞数は増加した。また、搾乳牛群中の初産牛、2産目の割合が増加すると、体細胞数は低下した。搾乳牛群の平均産次数が2.4産と同じ場合であっても、産歴分布の違いにより体細胞数は33.5万/mlと27.2万/mlと異なった。バルク乳細菌検査において、大腸菌群が主に分離される場合体細胞数は低く、OSが主に分離される場合細体胞数は高かった。バルク乳細菌検査成績を細菌汚染レベルで評価し、バルク乳体細胞数との関連を分析すると、OS、S.agの細菌汚染レベルが上昇するとバルク乳体細胞数の上昇が認められた。乳房炎原因菌の発生割合とバルク乳体細胞数との間には関連は認められなかった。

4.考  察:バルク乳体細胞数の増加は、搾乳牛群の産歴分布状況及びバルク乳細菌検査のOS、S.agの汚染レベルが関与していることが判明した。OSは、高齢牛ほど新規感染率及び保菌率は高い。そのため、搾乳牛群の平均産次数が上昇するとOS感染及びOS保菌牛が増加によることにより、バルク乳体細胞数が上昇するものと考える。搾乳牛群の産歴分布状況及びOS、S.agを保菌させない環境衛生、搾乳衛生により、バルク乳体細胞数を低下させることが可能と考える。

 

バルク乳体細胞数に影響を与える要因

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