アカバネ病生後感染牛の回復例について

 この度のアカバネ病の流行により、生後感染例6頭の内、2頭が回復しました。他4頭はあえなく斃死もしくは鑑定殺となってしまいました。
 回復例の2頭も、失明、斜頚等の後遺症が残りました。
 
 回復するか否かは非化膿性脳脊髄炎により、脳・脊髄にどの程度のダメージを受けたかによると思われます。
 今回の症例に対し、我々は初診時に抗生剤と共にデキサメサゾンを投与しました。回復例の2頭共、初診時には沈鬱で起立不能に陥っていたものが、デキサメサゾン投与により、炎症細胞の浸潤が抑えられ、過剰なサイトカインによる組織のダメージが最小限に止まったと思われます。
 2頭は翌日には、解熱し自力起立可能となりました。
 
 残念ながら、治癒しなかった症例は知覚鋭敏を示し、狂騒状態に陥った牛が2例いました。おそらく脳のダメージの程度、侵される領域により、症状の表れ方に差が生じるのでしょう。1頭は三叉神経経由でウィルスの浸潤があったと思われ、角膜が肥厚白濁してしまいました。又、咀嚼筋麻痺により飲水できなくなり、脱水を呈した症例もいました。
 
 正直、狂騒状態という症状が2例の牛にみられ、アカバネ病の生後感染は後駆麻痺による起立不能が特徴的臨床症状との認識があったため、診断に至るまで混乱しました。
 9月末現在、出雲地区方面にも発生が及んでいるようです。
 今回の流行を機に、ワクチン接種が普及し、「地域免疫」が確立され、今後の流行が抑えられること望みます。

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