我が診療所も順次人間ドックを受けます。実は人間だけでなく牛も……。

 肉体労働が多い産業動物診療の現場ですが、我が診療所でも年に一度、全員人間ドックを受けます。何と言っても体が資本の仕事ですし、皆そこそこ年いってますしね。
 実は人間だけでなく、牛も健康検査を受けます。
 というのは、松永牧場の肥育牛に対し、肥育中期終了時点で全頭採血し、血中コレステロール値、ビタミンA値、βーカロチン値、血漿総蛋白値を測定します。採血は月に100頭を超えますが、工夫された保定柵により、簡便に行われます。
 肥育中期は低ビタミンA飼養期間であるため、肉質が期待される反面、様々な疾病を引き起こす可能性があります。牛群の採食量の減少、被毛の変化で大体の血中ビタミンA濃度は推し量れますが、何せ3000頭を超える牛群ですので、状態を数値化して、或る程度システマチックに管理しないと、牧場オーナー・スタッフと診療所が情報を共有することが出来ず、混乱してしまう可能性があるのです。
 その測定データはこぉ~んな感じです。
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 数値の低い個体は疾病に罹っていることが疑われ、積極的にビタミン剤を投与していくことになります。
 こうして体内のビタミンAレベルをそろえた上で、肥育後期仕上げに入っていきます。
 ここで大きなつまずきもなく、採食量が維持されれば、高い歩留まり、脂肪交雑が期待されるわけなのです。

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