出血性腸症候群(HBS)における用手破砕法と輸血療法の併用

過去の診療日誌にも記載しているように、当診療所では出血性腸症候群(HBS)に対して輸血による治療を行い、高い治癒率を得ています。しかし、今後の治癒率の更なる向上を目指し、これまでの輸血療法に加え、用手破砕法による外科的処置を併用した症例について紹介します。

症例は、M牧場にて、3産目、搾乳日数79日、53ヵ月齢のホルスタイン種成乳牛でした。発見翌日の朝にこれまでと同様に輸血を行い、同日午後に用手破砕法による外科手術および術中輸血を行いました。用手破砕法は立位右膁部切開にて行い、腸管を創外に牽引後、腸管内に充満した血餅を用手にて破砕しました。輸血は手術日の午前と午後および手術翌日の午前と午後の計4回20L行いました。その他の処置としては補液や抗生剤、生菌剤、瀉下薬などで治療し、術後10日ほどで治癒しました。

今回の症例に関しては、無事治癒しましたが、手術を行う時期などまだまだ精査していく必要のある事は多いなと感じました。今後の症例数を増やした上での検討や、本症例の詳細などについては、また後日、ご報告させていただきます。

↓写真は血餅が充満した腸管および腸管の壊死部分です。

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